どこかを痛めて炎症が起こっている時には冷やした方が良い、とういう基本的な話は以前にもしました。
しかし痛めてからかなりの時間が経ったにもかかわらず、完治してくれないケースもあります。
筋骨格系の問題は、この世界では「何々炎」という名称で呼ばれがちですが、そのようなケースではもはや炎症が原因ではありません。
特殊なケースを除けば、痛めてから2カ月も経てばもはや炎症期ではありません。
痛みや不具合が関節由来であれば、関節の微小なズレや正しい運動経路からの微小な逸脱などが原因となりますが、軟部組織由来の場合は組織の変性が原因となります。
変性は分かりやすい言葉で言うと、老化や劣化という事になります。
体は細胞レベルで自らを作り直していますが、特定の部位がダメージを受けると炎症という形で対処しようとします。
発赤や腫脹は体がその部位を修復、再生しようとする正常な反応なのです。
しかしそれが完全に上手くいかない場合もあります。
これは軟部組織に限らず体はダメージを受けると、とりあえず弾力性のある繊維でそこを埋めようとする事があります。
これはもちろん、もともとそこにあった、その部位に相応しい細胞よりも劣るわけです。
これを繊維化といいますが、繊維化はそれこそ内臓でも起こります。
内臓の繊維化には徒手的にアプローチできませんが、軟部組織であれば可能です。
繊維化した組織はもう一度、意図的に少しずつ破壊して、再生のプロセスを新たにやりなおす機会を与えます。
よくないまま留まっている細胞を生まれ変わらせるのです。
痛めてからずいぶん経つのに症状が治まらないという方は、積極的なアプローチを試してみてはいかがでしょう。