筋骨格系の不具合には様々な名称が付いている事が多いです。
なんとか症候群とか、なんとか炎とか。
例えば手の痺れに限っても「手根管症候群」「ギヨン管症候群」など色んな名称があります。
しかし実際には、どこか特定の部位に100パーセント問題がある、というケースの方が少ないと言っても過言ではありません。
例えば頚椎椎間板ヘルニアは手のしびれの原因となります。
頚椎椎間板の近くには神経根があるために、椎間板の状態次第では神経にストレスが加わるからです。
しかしその先の末梢神経の通り道にも問題がある事も少なくありません。
メジャーなのは小胸筋ですが、ここが硬く分厚くなれば、その下を通る腕の神経にストレスを与えます。
椎間板に加えて小胸筋にも問題があると、神経にかかるストレスはより強くなります。
さらに言えば、神経は椎間板で既にストレスを受けているような場合は、末梢でよりストレスに弱くなってしまうのです。
このように、実は症状の全てが一箇所の部位に原因があるのではなく、複合的な要因が関わっている事の方が多いのです。
例えば手根管症候群ですら、頚椎の問題が何パーセントかは関わっている可能性についても考える必要があるでしょう。
ゆえに「整形外科で〇〇症候群と言われました」という情報は、私たちが治療する上で役に立たない事の方が多いのです。
だからこそ、治療においては常に全体をみる。
これが大切なのです。