重心を意識して日常生活を送っている人は、恐らくそうはいないでしょう。
私たちは重力の中で直立しているので、例え意識していなくてもバランスを常に取っています。
漠然と重心と言ってもピンと来ないかもしれませんが、道行く人を観察すれば分かると思います。
特に中高年にもなると、理想的なバランスからは外れてきがちです。
簡単に言えば背中が丸くなって、頭や腕の位置が前に傾いています。
この傾きが大きくなると、バランスをとるために腕を後ろに回して組んだりもします。
後ろや正面から見れば、明らかに左右どちらかに傾ている方も。
私たちの頭や腕はかなりの重量があります。
そしてこれらのパーツは体の真横ではなく、やや前側に付いています。
故に私たちの重心が乱れる時には、基本的には前に傾きます。
このような重心の乱れは見た目にも分かりやすいものですが、一見良い姿勢、重心のようでも、実はそうではないケースもあります。
良い姿勢ではあるが、重心が前に滑っている方が意外にたくさんおられます。
例えばヒールなどかかとの高い靴を履いている、または履いていた女性はこの傾向があります。
それこそ昔の一時期に仕事でヒールを履いていたという方であっても、重心の前滑りが体に残っている事もめずらしくありません。
このバランスを極端な形で説明すると、スキーのジャンプの時の体勢をイメージすると分かりやすいと思います。
体自体は真っすぐでも、前に傾いているイメージです。
かかとの高い靴を履くと美容に良いとか、良い姿勢になるとか言う人がいます。
美容の事は知りませんが、良い姿勢になるという部分は間違いです。
重心が強制的に前に傾かされる分、背中や腰を反らさないとバランスが取れなくなる、というカラクリです。
これはいわゆる「良い姿勢」というのとは違いまし、重力と上手く付き合えているとも言えません。
一見良い姿勢であっても、体には不必要な負荷がかかっている状態だからです。
このようなタイプの方は立ち姿を真横から見ればよく分かります。
私たちは鏡を見る時は正面から見ますが、横からの姿もチェックする習慣も持たれてはいかがでしょう?