頭痛のリスクとなる骨格のパターン
代表的なふたつのタイプをここでは取り上げてみましょう。人間の背骨は基本的には横から見たときにS字形のカーブのような湾曲があります。簡単に説明すれば頚椎は前へ、胸椎は後ろへ、そして腰椎は再び前にカーブします。この湾曲は重力による縦のストレスをやわらげる効果があると言われています。
背骨の形については持って生まれた要素も大きいのですが、日常の習慣やクセなどで後天的にもかなり形は変化します。
ここでは頭痛のリスクが大きくなる骨格のタイプについて説明しましょう。
まずひとつ目は背中の丸いタイプの骨格です。
一般的には猫背と呼ばれますが、私たちは背中、あるいは胸椎の後弯が大きいという言い方をします。
もうひとつは横から見た時の背骨のカーブが少ないタイプの骨格です。このタイプの方の首はストレートネックという事になります。
下の図は姿勢のパターンを描いています。
背骨のカーブに違いがあるのがお分かりでしょう。上から順に「通常」「後弯」「ストレート」となります。
猫背の頭痛リスク
私たちの頭は横から見た時に、正常な姿勢であっても体の中心からやや前方に位置しています。イメージしてください。背中がどんどん丸くなればなるほど、頭はさらに前に、顔は下を向く体勢になります。
しかしどれだけ背中が丸くなろうと、下を向いたまま生活するわけにはいきません。
視線をまっすぐ前に向けるために、頭を持ち上げる必要があります。
この状態は通常の姿勢の人で置きかえれば、常に上を向いて生活しているようなものですから、首には当然かなりのストレスとなります。
頚椎のカーブで言えば通常よりも過度きついカーブになります。
丸い背中で生活している期間が長ければ長いほど、頭痛リスク危険エリアにある上部頚椎や後頭下筋群にもダメージが蓄積していきます。
この場合、根本的治療のためには頚椎周りの調整だけではなく、丸い背中も改善する必要があります。
ストレートネックの頭痛リスク
背骨の形がストレートの方は基本的にストレートネックである事がほとんどです。ストレートネックは横から見た時の頚椎の前カーブがなく、まっすぐという事です。
通常のカーブを持っている人でも事故でムチ打ちになると、その後の反応として頚椎のカーブがなくなる事があります。しかしストレートネックは基本的には持って生まれた要素が大きいです。
「自分は姿勢が悪い」と自覚している猫背の方はたくさんいらっしゃいますがストレートネックを自覚している方は多くはありません。
ストレートネックという言葉自体を知らない方がほとんどかもしれません。
確かに自覚はしにくいかもしれませんが、もしあなたが肩甲骨の内側や頭と首のつなぎ目周辺がしんどい、または人からよく首が長いと言われる、というのであればストレートネックである可能性が高いです。
経験的には片頭痛の方はストレートネックである事が多いです。筋バランス的には首の前や横にある筋肉が硬くなる傾向があります。さらに通常よりもアゴを引いたような状態の方もよくいらっしゃいますが、この頭のポジションは頭痛の原因となり得る後頭下筋群に大きなストレスをあたえます。
ただストレートネック自体が「悪い」のではありません。特に問題なく生活していらっしゃるストレートネックの方もたくさんいらっしゃいますから。外的に力を加えて湾曲を作る、という事は必要ありません。
ストレートの方は通常の背骨のカーブがある人に比べて、より日常的に体の使い方などを気をつける必要があるのは事実ですが、悲観することはありません。まず頚椎周りの関節や筋肉を良い状態にキープする事が大切です。