例えば腰を痛める時などは、重い物持ち上げるような、明らかに腰に負荷がかかるような動作で痛めたというケースももちろんあります。
しかし何気ないちょっとした動きで痛めた、といケースも意外に多く存在します。
実はこの何気ない動き、というものが危なかったりするのですよ。
実は人間の脳は私たちが何かしらの動作をする前から、私たちの意識にはのぼらない領域で「準備」をしてくれています。
今までの経験から、その動作に最も相応しい動きをするためのサポートをしてくれるのです。
これをフィードフォワードといいます。
例えばエスカレーターに乗る時には、静止した階段とは全く違う動作や感覚が必要になりますが、私たちの脳はオートマチックにこの動作や感覚を導き出してくれます。
例を挙げれば、もしあなたが「止まったエスカーレター」を登る機会があれば、その時にはかなり奇妙なバランス感覚の乱れを感じるはずです。
脳はエスカレーター用の準備をしているにも関わらず、実際には動いていないためにギャップが生じるからです。
脳は私たちの意識とは別に、常に状況に合った準備をしているという証拠です。
つまり逆に言えば急な動きや、ふとした瞬間的な動きにはフィードフォワードが働かない、という事になります。
ちょっと物を取るために手を伸ばす、瞬間的な判断で足を使って扉を閉める、などの大きな負荷がかからないはずの動作で痛める事があるのは、この脳の準備の有無が関わっているのです。
だからみなさん、ちょっとした瞬間的な動きこそ気をつけましょう。
脳にサポートする時間の余裕を与えてあげましょう。
そうすれば、何でもない動作で痛める確率はかなり少なくなるでしょう。